今日は、家の状況と連絡先が分かれば一歩前進。急いで確認することと、家族でゆっくり考えることを分けていきましょう。

この記事で持ち帰れること

最初の30日、何をしておけばいい?

  • 緊急性のある問題と、後から決められる問題を分ける
  • 名義・相続関係を『分からないまま』にせず、確認先を決める
  • 維持費を年額に直し、保留する場合の負担を見える化する
  • 相談先へ渡せる一枚の現状シートを作る
  • 30日後に、保留を含む次の一手を一つだけ決める

現地へ向かう前に、確認役と連絡先を一つにする

最初の訪問で大切なのは、家をきれいにすることではなく、現在地を安全に把握することです。誰が鍵を持っているか、前回いつ人が入ったか、電気・水道・ガスの状態を知る人がいるかを、出発前に確認します。遠方から向かう場合は、一度で全部終わらせようとせず、外からの確認と記録だけで終える可能性も予定に入れておきます。

家族の連絡窓口は、ひとまず一人にまとめます。その人がすべてを決めるのではなく、写真や連絡を集める係です。近隣や業者から複数の家族へ別々に連絡が入る状態を避けると、伝言の食い違いが減ります。

出発前の連絡では、①訪問する人と到着予定、②鍵を渡す人・受け取る場所・返す方法、③現地で不安があったときに電話する家族、④今回してよいことを、短い一通にまとめます。鍵の所在だけでなく、受渡しの時刻と返却先まで確認します。前回の訪問者に、施錠しにくい戸や入れなかった部屋があれば、そのまま伝えてもらいます。

持ち物は歩きやすい靴、ライト、充電した電話、予備の電源、メモ、必要ならマスクを一か所に揃えます。写真を撮る人と、訪問後に家族へ共有する人も決めておくと、同じ家を何度も確認し直す負担を減らせます。写真を送る先を先に決め、住所や郵便物など個人情報が写るものは、共有範囲を確かめてから送ります。

現地では外から屋根・塀・窓・庭を見て、落下物、強い異臭、床や天井の大きなたわみなど不安があれば入室を見合わせます。入れなかった場所は『未確認』と書き、撮影のために無理に入らないことを出発前から共有します。入室できた場合も、今回の目的が現況を記録することなら、設備の操作や家財の処分は別の判断として残します。

少し傾いた視点から、古い日本の住宅の玄関、画面端の鍵とメモ帳、スマートフォン、外の庭を写した生成写真
訪問前に鍵の受渡し、連絡先、記録方法を揃えておきます。
画像:akiya.net編集部
初回訪問の前に確認しておくこと
確認すること目的分からないとき
鍵の所在と本数入れる人と返却先を明確にする無理に開けず、家族や管理者へ確認
前回の訪問時期長期不在による変化を想定する不明として記録し、外観から確認
設備の契約状況通電・通水・ガスの状態を決めつけない契約書や請求履歴を後で確認
緊急連絡先危険を見つけたとき一人で抱えない市町村の空き家担当窓口を控える
記録する人写真とメモの保管場所を揃える当日の同行者から一人決める
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最初の48時間は、結論より安全確認

まず確認するのは価格ではなく、建物と周辺に急いで対応すべきことがないかです。屋根材の落下、傾いた塀、割れた窓、雨漏り、庭木の越境、郵便物の滞留などを、道路など安全な場所から確認します。危険を感じる建物へ無理に入らないことが前提です。

確認した内容は、写真と日付を一緒に残します。『問題なし』ではなく、『東側の雨どいが外れている』『玄関は施錠を確認』のように、後から第三者が分かる書き方にすると、業者や家族への共有が早くなります。

焦げたような臭い、ガスのような臭い、大量の漏水、床や天井の大きなたわみ、動物や人が入った形跡など、いつもと違う兆候があれば、その場で原因を確かめようとしません。入室や設備操作を止め、状況に応じて消防・警察・供給事業者・専門業者などへ連絡します。

下の参考写真では、天井の一部が開き、室内に家財や落下物が残っている様子が見えます。記録には『天井の一部が開いている』と見える状態を書き、原因、床の強さ、入室できるかは『未確認』と分けます。別の家でも、傷みを撮るために近づく必要はありません。安全な場所から分かる範囲を残し、撮れなかった理由も相談先へ伝えます。

天井や内装が傷み、家財が残る秋田県の住宅内観の実写真
『Ruins(Wikimedia Commons掲載名:Interior of an Abandoned House)』:秋田県で撮影された住宅内観の参考写真です。自社の相談・支援事例ではありません。写真だけで建物全体の状態や原因は判断できません。
  • 外壁・屋根・塀・樹木に落下や倒壊のおそれがないか
  • 玄関・窓・勝手口が閉まり、不法侵入の痕跡がないか
  • 雨漏り・漏水・異臭・害虫などの兆候がないか
  • 郵便物、雑草、ごみが近隣トラブルにつながっていないか
  • 鍵を誰が持ち、次回いつ確認するか
  • 入室を中止する異常がなく、退出時の施錠まで確認したか
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一枚の『空き家現状シート』を作る

情報がいろいろな人の記憶や書類に分かれていると、相談のたびに最初から説明することになります。全部揃っていなくてもよいので、一枚に集約します。空欄は『未確認』と書けば、それ自体が次の確認事項になります。

写真は、建物の正面だけでなく、四方の外観、道路との接し方、玄関、各室、設備、傷み、残置物が分かるように撮ります。写真名やメモに『2026-09-04・北側外壁』のように日付と場所を入れると、次回の写真と比べやすくなります。個人名や郵便物が写った画像は、共有先を必要な家族や相談先に限ります。

室内は、まず入口から部屋全体を一枚、次に傷みや設備を近くから一枚ずつ撮ると、場所と細部の対応が分かります。家財を動かして片づけた後だけを撮ると、訪問時の状態が伝わりにくくなります。危険を感じる場所には撮影のために入らず、『未撮影・立入を見合わせた』と記録します。

初回の記録には、見たこと、聞いたこと、まだ分からないことを分けて書きます。「雨漏りがある」と家族から聞いた場合は、「家族から聞いた・現地未確認」と残します。写真で見えるシミも原因を決めつけず、部屋名、壁や天井の位置、撮影日を記録します。

次の担当者が同じ場所を探せることが、記録の目的です。下の六行をノートへ書き写し、分からない欄には「未確認」と入れて使えます。

家財や布団が残る古い家の畳の部屋を描いた生成画像
部屋全体と細部を分けて記録すると、後から場所を照合しやすくなります。
画像:akiya.net編集部
  • 訪問日・確認した人:____
  • 写真番号・場所:____
  • 自分で確認したこと:____
  • 家族や近隣から聞いたこと・聞いた日:____
  • 入れなかった場所・確認できなかった理由:____
  • 次に確認すること・担当者・予定日:____
現状シートに入れる項目
項目書く内容分からない場合
物件所在地・種類・おおよその築年固定資産税通知や地図から確認
所有者登記名義人・現在の状況法務局の登記事項証明書を確認
関係者相続人・家族・連絡担当家族関係を図にする
建物傷み・設備・残置物・鍵写真と未確認箇所を記録
費用税・保険・光熱・管理・交通費通帳や請求書を3〜12か月確認
希望残したい物・避けたい進め方・期限各家族が別々に書く
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名義と相続は、期限の有無まで確認する

売却・賃貸・解体などの方向を考える前に、登記上の所有者と、実際に判断する人が一致しているかを確認します。亡くなった方の名義のままなら、遺言の有無、相続人、遺産分割の状況を分けて整理します。

2024年4月1日から相続登記は義務化されています。法務省によると、同日以降に不動産を相続で取得したことを知った場合は、その日から3年以内の申請が原則です。同日より前から相続を知っていた場合は、原則として2027年3月31日までが期限です。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になる可能性があります。起点や遺産分割後の期限は状況によって変わるため、日付を決めつけず法務局・司法書士等へ確認します。

期限内の相続登記が難しい場合には、相続人申告登記という制度があります。ただし、これは不動産の権利関係を確定する相続登記そのものではなく、売却や抵当権設定などには別途相続登記が必要です。『申告したから売れる状態になった』と受け取らないよう、何の手続が済んだのかを分けて記録します。

  • 登記事項証明書の所有者名
  • 遺言書の有無と保管場所
  • 相続人になり得る人と連絡状況
  • 遺産分割協議が済んでいるか
  • 相続を知った時期と、既に行った手続き
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放置リスクは『すぐ税金が上がる』ではなく、段階で理解する

空き家であるだけで直ちに住宅用地特例が外れるわけではありません。一方、適切に管理されず、市区町村から管理不全空家や特定空家として指導を受け、その指導に従わず勧告を受けると、住宅用地特例が受けられなくなる場合があります。

国土交通省は、当面活用や除却をしない場合も適切な管理が必要として、空き家管理チェックリストを公開しています。遠方で自分では点検できない場合は、管理業者や修繕業者へ『何を、何回、どう報告してもらうか』まで決めます。

放置せずに管理するための役割分担
管理項目確認内容頻度を決める人
外部点検屋根・外壁・塀・庭木・郵便物家族または管理会社
内部点検漏水・換気・害虫・設備鍵を預かる担当者
近隣対応連絡先と緊急時の窓口家族の代表者
記録写真・日付・補修履歴点検を実施した人
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『年間保有コスト』で保留の重さを知る

保留は何もしないことではなく、一定期間保有するという選択です。固定資産税だけでなく、保険、最低限の光熱費、管理委託、草刈り、交通費、小修繕を年額で並べます。金額が分からないものは、前年実績か見積りで仮置きします。

さらに、家族が現地へ行く時間や、近隣連絡の負担も書き添えます。金額と感情を同じ数字にする必要はありませんが、見えない負担を見えないままにしないことが大切です。

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契約は一括で止めず、家の状態と管理方法を見て決める

空き家になったからといって、電気・水道・ガス・保険などを同じ日にすべて解約するとは限りません。換気や点検、凍結対策、防犯設備、漏水確認など、今後の管理方法によって必要な契約が変わります。一方で、使わない契約を放置すると支払いだけが続きます。契約ごとに名義、連絡先、現在の状態、次回判断日を並べます。

まず手元の請求書や契約案内から、事業者名、契約者名、連絡先、対象住所を拾います。古い請求書だけで現在も契約中とは決めず、分からない欄には『要確認』と書きます。次に、家を点検する人へ、照明・水・防犯設備など次回訪問までに使うものを聞き、請求があることと、管理に必要なことを別々に確認します。

設備を操作する前に、元栓やブレーカーの状態を写真で残します。契約名義人が亡くなっている場合や、保険の対象・条件が分からない場合は、自己判断で名義変更や解約を完了させず、各事業者へ空き家になった事情を伝えて必要な手続を確認します。

写真のような屋外設備は、安全に立てる場所から見える範囲だけを撮ります。箱や水栓が写っていても、何の契約に対応するか、供給中かどうかは写真だけでは分かりません。撮影日と場所を添えて請求書の対象住所と照らし、契約状況と停止・継続の手順は事業者へ確認します。番号や氏名が写った写真を共有するときは、送る相手と必要な範囲を先に確かめます。

草木のある古い日本の住宅の側面に、設備箱と屋外水栓が見える説明用生成写真
屋外で見える設備の位置を記録する例。写真だけで契約や供給の状態を決めず、事業者へ確認します。
画像:akiya.net編集部
止める前に確認する契約・連絡
対象先に確認すること記録すること
電気換気・照明・防犯設備に使うか契約名義、ブレーカー、次回判断日
水道点検や清掃、通水に使うか元栓、メーター、漏水の有無
ガス使用予定と閉栓状態供給会社、停止・閉栓の確認日
保険空き家になった後の補償条件保険会社への確認内容と受付日
郵便・連絡重要書類の受取先転送・回収担当、近隣の緊急連絡先
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最初の30日を、三つの期限に分ける

すべてを一度に終わらせようとすると、家族も担当者も動けなくなります。緊急対応、事実確認、選択肢比較の三段階に分けます。

30日で最終結論が出なくても問題ありません。ただし、次回点検日、登記の確認、査定や修繕見積りの依頼、家族会議の日時など、次に動くことを一つ決めます。保留する場合も、保留期間と再判断日まで決めれば、放置とは分けられます。

30日アクションプランの例
目安やること完了の状態
0〜2日安全・施錠・近隣影響を確認写真付きメモがある
1週間現状シートと関係者一覧を作成未確認項目と担当者が分かる
2週間登記・費用・建物状態を確認判断材料の不足が見える
30日売る・残す・整える・保留を比較次の一手と期限を1つ決める
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相談時に渡すものは、完成資料ではなく『現在地』

相談の目的は、資料を完璧にすることではありません。現状シート、写真、手元にある書類、家族の希望を共有し、次に確認すべきことを合意することです。見積りや査定を受ける場合は、誰が何を調査し、費用が発生するのはいつかも確認します。

相談後は、助言を『決まったこと』『まだ決めていないこと』『追加で確認すること』に分けて残します。相談しただけで売却や工事を頼んだことにはなりません。分からない用語や前提があれば、その場で聞き直して構いません。

初回の連絡は、「家の所在地」「現在分かっている状態」「確認できていないこと」「今回聞きたいこと」の四つから始められます。写真には番号を付け、「写真1は玄関から見た室内、写真2は同じ部屋の天井」のように対応を書き添えます。詳しい住所や書類を送る前に、相談先の連絡先と送付方法を確かめ、宛先を確認してから共有します。

  • 現状シート
  • 外観・室内・傷み・残置物の写真
  • 手元にある税・登記・保険関係書類
  • 家族ごとの希望と避けたいこと
  • 希望時期と、急いでいる理由
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初回訪問の後は、家族が引き継げる形で共有する

訪問後の共有は、写真をまとめて送るだけで終わらせず、「今回確認した範囲」「その場で行ったこと」「まだ判断していないこと」を短いメモにまとめます。

鍵や書類を持ち帰った場合、設備の状態を変更した場合、相談先へ連絡した場合は、何を誰が扱ったかも伝えます。訪問していない家族が、現在の状態と自分に確認してほしいことを区別できる形にします。

共有したら、家族が資料を開けるか、説明が伝わったかを確認します。返事がない人は、内容を確認済みとして扱わず、「未確認」と残します。質問や訂正は一つのメモへ集め、更新日を付けて共有し直します。次の確認を頼むときは、担当者が引き受けられるかまで確かめ、難しければ確認範囲や担当を見直します。

古い家の門扉と玄関を外から記録する様子を描いた生成イメージ
外から見える状態を記録する場面のイメージです。実際の訪問・相談事例ではありません。写真で確認した範囲と、確認できなかった場所を分けて共有します。
画像:akiya.net編集部
初回訪問の記録を家族へ引き継ぐ五つの手順
手順家族へ共有・確認すること引継ぎ後の状態
1. 訪問結果を短くまとめる確認した範囲、当日行ったこと、未判断のこと写真を全部見なくても概要が分かる
2. 物と連絡の所在をそろえる鍵・持ち帰った書類の保管先、連絡済みの相談先次の人が所在と連絡状況を確認できる
3. 受取を確認する資料を開けるか、確認した人・未確認の人送付と内容確認を区別して記録できる
4. 質問と訂正を集める家族からの質問、記録の食い違い、追加確認更新日付きの一つのメモで共有できる
5. 次の担当へ渡す確認する一件、担当者、予定日、返答先担当者が引き受けた内容と次の連絡日が分かる
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出典表記例出典:akiya.net「実家が空き家に。まず何から始める?」(https://akiya.net/columns/first-checks/最終更新:2026.10.17)

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