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まず知っておきたいのは、普通の賃貸借とは契約の終わり方が違うこと
終身建物賃貸借は、賃借人である高齢者が生きている間は契約が続き、亡くなったときに終了する、本人一代限りの賃貸借です。2025年10月1日の制度改正後は、貸主が先に「事業者」として認可を受け、実際に終身建物賃貸借を行う住宅を届け出る仕組みになりました。空き家の所有者が、通常の賃貸募集に「終身」と書くだけで利用できる制度ではありません。
入居希望者から申し出があった場合は、終身契約に先立ち、1年以内の定期建物賃貸借による仮入居契約を締結します。
対象者は60歳以上。誰と住むかにも条件がある
対象となるのは、60歳以上の単身者、または配偶者、もしくは60歳以上の親族と同居する60歳以上の人です。60歳未満の人は、要介護・要支援の認定を受けていても、この制度の対象にはなりません。
同居者は、賃借人が亡くなった後も自動的に同じ契約を引き継ぐわけではありません。同居していた配偶者または60歳以上の親族(その住宅の借主である人を除く)が、賃借人の死亡を知った日から1か月以内に貸主へ継続居住を申し出る扱いです。国土交通省の現行概要に沿い、起算点は死亡日そのものではなく、死亡を知った日として確認してください。家族での入居を想定するなら、誰が借主か、同居者の年齢、申出先と新たな契約の手続きを入居前に確認しておきます。
既存住宅は床面積18平方メートル以上が原則

住宅にも基準があります。既存住宅は各住戸18平方メートル以上が原則で、同等以上の居住環境が確保される場合は13平方メートル以上とされる例外があります。水洗便所、洗面台、台所、収納設備、浴室またはシャワー室などの設備も確認対象です。
既存住宅のバリアフリー基準では、便所、浴室、住戸内の階段への手すりが求められます。共同居住型の住宅には、専用居室や共用設備の数・広さについて別の基準があります。古い空き家をそのまま貸せるとは限らず、間取り、設備、段差、手すり、確認済証・検査済証の有無を早い段階で点検することが大切です。
現地で資料をそろえるなら、まず手元の間取図に「玄関→廊下→居室→便所→浴室→階段」の順で番号を振ります。安全に見られる場所ごとに全景を一枚撮り、段差、出入口、手すり、設備の気になる箇所を近くから撮って、全景と詳細の写真番号を対応させます。使えない設備や入れない部屋は「未確認」と書き、動かしたり通電したりして確かめる前に管理者へ相談します。これは編集部の現況整理の提案で、県の提出様式ではありません。
相談メモは「場所/図面の番号/写真番号/見えた状態/寸法・設備の確認先」の五つの欄にします。たとえば玄関の段差が見えるなら、その位置を記録し、段差の高さや住宅基準への適合は写真から決めません。床面積、間取り、設備と加齢対応構造等のチェックリストは県の届出資料と照らし、改修の要否や測り方を認可窓口・専門家に確認します。掲載写真は記録する場所を示す生成イメージで、実際の届出住宅ではありません。
契約だけでなく、修繕と管理を続ける体制が必要
契約は、公正証書などの書面で、賃借人の死亡まで存続し死亡時に終了することを明記します。貸主からの解約申入れには、住宅所在地を所管する認可行政庁の承認が必要です。賃借人からの解約は原則として申入れから6か月後ですが、療養、老人ホームへの入所、親族との同居などを理由とする場合は1か月後とされています。
管理面では、計画的に修繕することに加え、契約書、家賃・敷金の収納状況、事業の収支が分かる書類を備える必要があります。住宅の届出書類にも、間取図、加齢対応構造等のチェックリスト、契約様式、長期修繕計画書、確認済証または検査済証の写しなどが含まれます。管理を委託する場合や家賃等の前払金を受け取る場合は、追加資料も必要です。
前払い家賃は、返還条件と保全措置を確認する
前払い家賃がある場合、千葉県の基準では算定の根拠を書面で示し、返還債務に備えた保全措置を講じることが必要です。入居前には、前払分と毎月払う分、共益費や敷金を分け、各費用がどの書面に記載されているか確認します。
国土交通省の標準契約書は、前払分の算定に使う月額・想定居住月数などと、想定期間内の死亡・解約等に伴う返還式、具体的な保全措置の記載欄を設けています。ひな形であり、実際の契約内容を一律に決めるものではありません。全額が返ると考えず、途中終了の条件、返還の計算方法、返還先、保全の内容と確認先を契約案で質問してください。
家財は、契約終了とは別に扱いを決める

死亡による終身契約の終了は、貸主が残された家財を自由に処分できることを意味しません。誰が連絡を受け、誰が家財を扱うか、残して届けたい物は何かを、入居者の意向と権限を確認して決めます。
必要に応じて、終身契約とは別に残置物処理の契約を検討します。国のモデルは利用が法令で義務づけられたものではなく、主に単身高齢者を想定しています。同居世帯へ一律に当てはめたり、終身契約にも通常の賃貸借を解除する委任が必ず必要と決めたりせず、個別の状況を確認します。
利用する場合は、本人が内容を理解して同意することが大切です。
準備メモには、受任者と連絡先、処理する範囲、費用、廃棄せず届けたい品と送付先を分けて残します。例えばアルバムなら保管場所と届け先を記録し、他の品と区別できるようにします。これは資料整理の例で、実際の相談事例ではありません。家財が増減したり連絡先が変わったりした際の更新方法も、受任者と相談してください。
原状回復と敷金は、入居時の記録から照合する
前払い家賃の返還と、敷金の精算は別に確認します。国の標準契約書は、敷金から差し引く債務の内訳を示す扱いと、通常の使用による損耗・経年変化を除く原状回復、特約を含む協議を示しています。実際の契約案では、原状回復の範囲と特約、控除の内訳、精算先を確かめます。
入居時に部屋全体と既に傷んでいる箇所を記録し、貸主・管理者と確認した内容を保管すると、退去時に照らしやすくなります。「壁の汚れ」「設備交換」など曖昧な費目は、箇所、理由、負担の根拠、見積りの内訳を質問し、前払金・敷金・家財処理費用を混ぜずに整理してください。
手元で確認するときは、三つの順番で進めると整理しやすくなります。まず契約案と費用の説明書を並べ、「前払金」「敷金」「家財処理費用」が載るページに印を付けます。次に、分からない点を一件ずつ「質問/確認する相手/回答待ち」の形でメモします。最後に、回答を受け取った日と書面の該当箇所を追記します。口頭の説明と契約案が違う場合は、どちらが実際の契約に反映されるかを確かめ、回答がない欄は確認済みに変えません。これは資料整理の提案で、契約や申請の必須様式ではありません。
相談先は住宅の所在地で分かれる
住宅が千葉市、船橋市、柏市にある場合は、それぞれの市が認可窓口です。それ以外の千葉県内の市町村は、千葉県住宅課が窓口になります。県は、事業認可の申請前に住宅課住宅支援班へ事前相談するよう案内しています。
空き家活用として検討するときは、まず所在地、建物の図面と検査関係書類、改修が必要な箇所、想定する入居者、管理担当、長期修繕の資金計画を一枚に整理します。そのうえで、改修工事や入居募集を始める前に認可窓口へ相談し、対象住宅として届け出られる見込みと必要書類を確認してください。
相談メモは「事業者認可」「住宅の届出」を別行にし、現在分かる建物の面積、手すり、図面、修繕予定、管理担当を添えます。資料がない欄は未確認と記し、代わりに何を示せるかを窓口へ質問します。これは編集部の準備例で、県の申請様式ではありません。
確認資料:国土交通省の契約書ひな形/残置物のガイドブック・Q&A。ひな形をそのまま必須契約とせず、実際の契約案と照合してください。
